2011年7月21日木曜日

宮城県石巻市の民俗資料保全に関する調査報告

皆さま、半田です。

新潟大学、多田さんから、飯島康夫氏(民俗学)による、宮城県石巻市の民俗資料保全調査の報告をいただきました。
転送させていただきますのでご参照下さい。

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宮城県石巻市民俗資料保全調査報告

2011年7月19日
飯島康夫

 2011年6月28日(火)~30日(木)の期間、宮城県教育庁からの依頼により宮城県石巻市に出張し、地震および津波の被害を受けた民俗資料の保全活動に加わった。

 新潟からの参加者は、新潟大学2名、新潟県立歴史博物館1名、新潟市歴史博物館2名の計5名の民俗学関係者で、今回のわれわれ新潟からのメンバーの活動は、新潟大学災害・復興科学研究所のプロジェクト活動被災者支援研究グループにおける調査活動の一環として行われた。なお、新潟大学と新潟県立歴史博物館の3名は、28日・29日の2日間のみの参加であった。

 前日の27日に仙台市に入り、28日からは、宮城県の被災文化財等救援委員会現地本部の置かれている仙台市博物館に毎朝7時30分に集合し、車に分乗して約3時間かけて石巻市の現場に移動、民俗資料の保全活動を行い、14時30分~15時に現地を撤収するという作業日程であった。作業は、国立民族学博物館チームの指揮のもとで行われ、東文研をはじめとした国立文化財機構チーム、東北学院大学チームとわれわれ新潟のチームが参加した。

 保全活動の内容は、津波の被害を受けて傾いた収蔵庫から民俗資料を搬出し、いったん近接する公共施設に仮置きして、そこでラベル附け・写真撮影・照合のための資料の記録を行い、資料の一部は洗浄のため同市内にある公益財団法人施設に車で搬送するというものであった。最終的にはすべての民俗資料が東北学院大学に移送されて一時保管される。

 公益財団法人施設には別の場所から搬入された民俗資料も一時的に保管されており、2日目にはその一部の洗浄作業も行われた。

 津波の水損を受けた資料は、塩水を被ったうえに様々な付着物や臭気があり、その保全や整理には、地震の揺れによる損害を被っただけの資料とはまた別の難しさがある。被災現場からの搬出が終わっても、これらの資料を活用可能な状態にする作業は相当な時間がかかると考えられる。しかも被災したのがここ1か所だけではなく広域にわたることを考えると、長期の支援体制が必要であると強く感じた。

(タバシオ/半田)

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