2011年12月31日土曜日

来る年に

2011年が終わろうとしています。
3月11日の東日本大震災から9ヶ月以上が過ぎました。
震災後に開設した「東日本大震災 博物館情報」サイトですが、6ヶ月が経った9月11日に書き込んだブログ記事を最後に今日を迎えています。日々の仕事に追われるなかで、震災のこと、被災地への想いが希薄になっていないかと、自分に問うこともありますが、この9ヶ月間に現地の博物館施設の状況も大きく変化してきました。現地で被災した博物館で復興に取り組んでこられた沢山の方々のご努力で、多くの博物館施設がそれぞれの機能を取り戻し、本来の活動に復帰しました。被災した文化財に対するレスキュー事業も、被災地、周辺地域、さらに全国へと広がったネットワークのなかで、大きく前進しました。しかしその一方で、未だ復興の道筋が見えない施設もあります。文化財レスキューも、被災した資料の全貌からすれば、未だようやく登山道の入口に立ったばかりで、本格的な道のりはこれからです。さらに、全国の施設に預けられ、修復処置を施されている被災文化財には、修復が終わったときに、帰るべき施設が失われてしまっているものが膨大な点数存在しています。被災地の復興自体、まだまだ永い年月を要することでありますが、博物館施設の復興は、さらに多くの時間を必要としています。
 こうした状況のなかで、「東日本大震災 博物館情報」のサイトも、年が改まることを機に、少しずつその在り方を見直し、できるだけ、今後の復興の歩みを、しっかりと発信する役割を果たしていけるようになりたいと思います。
 間もなく訪れる新たな年が、皆さまにとって佳き日々でありますことを、心よりお祈り申し上げます。

2011年9月11日日曜日

震災から6ヶ月

皆さん、タバシオの半田です。
今日は9月11日。震災から6ヶ月が経ちました。
被災された方々のなかには、徐々に通常の暮らしを取り戻されつつある方も居られる一方、未だに4,000人を超す方々が行方不明で、避難所で不自由な生活を強いられている方々も6,000人以上居られます。改めて、被災地の1日も早い復興をお祈り申し上げます。
 こうした状況のなかで、博物館の世界も少しずつ落着きを取り戻しつつあります。7月15日に「アクアマリンふくしま」がオープンし、震災の影響で閉館している水族館はなくなりました。文化庁を中心とする「文化財レスキュー」事業も、構成団体の皆さんの努力によって、機能的な活動が展開されるようになりました。しかし、全体としての復興には、未だ遠い道のりが必要とされています。多くの機関の協力により、被災地から各地に運ばれレスキューされた文化財は、今、応急手当を終えて避難生活をしている状況ですが、これらの博物館資料のなかには、本来、戻るべき博物館の再会に、未だ全く目処が立っていない施設も沢山あります。
 6ヶ月経った今日、東京は30℃を超す残暑です。一方で、秋祭りの季節、被災地で復興に携わっておられる方々におかれましては、夏の疲れが出ませんよう、どうぞご自愛ください。また私たちも、引き続きできるお手伝いをさせていただきたいと思います。なにかお手伝いできることがありましたら、お気軽にお声を掛けていただければ幸いです。
 今後ともよろしくお願い申し上げます。

2011年7月29日金曜日

シンポジウム「災害と博物館~災害時に博物館ができること~」のご案内

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平成23年度 吹田市立博物館夏季特別展関連シンポジウム
日本ミュージアム・マネージメント学会(JMMA)
平成23年度 第2回近畿支部研究例会
「災害と博物館~災害時に博物館ができること~」のご案内
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3.11の発生後、多くの人々が「私に何ができるか」を考えました。
では、博物館は災害時にどんな貢献ができるのか。東日本大震災で多くの博物館や文化財が被災している今、そして、博物館に氷河期が到来している今、博物館の存在意義とは何かをあらためて問い直すべきではないでしょうか。世界の博物館の取り組みや関西発の文化財保全の取り組みなどを議論するなかで、われわれに何ができるのか、文化財に関わる関係者や市民一人一人が考えるきっかけにしたいと思います。

 大学関係者、文化財保護関係者、博物館関係者、市民の方々、また博物館の災害対応に興味を持っている学生の皆さんなど、たくさんの方のご参加をお待ちしております。

1.開催日時・会場
日時: 平成23年8月7日(日) 14:00~16:00 (13:30開場)
会場: 吹田市立博物館 2F講座室 (定員120名:先着順)

2.主催
吹田市立博物館、日本ミュージアム・マネージメント学会(JMMA)近畿支部

3.後援
全日本博物館学会、日本展示学会

4.プログラム (司会:黒岩啓子)
 13:30-14:00 開場・受付
 14:00-14:05 開会のあいさつ(吹田市立博物館館長 小山修三)
 14:05-14:35 講演(国立民族学博物館准教授 林勲男氏)
 14:35-15:05 講演(近大姫路大学講師、歴史資料ネットワーク副代表 松下正和氏)
 15:05-15:55 パネルディスカッション
        (司会:JMMA近畿支部長・全日本博物館学会役員 井上敏、
         パネリスト:林勲男氏、松下正和氏、小山修三)
 15:55-16:00 閉会のあいさつ(井上敏)

5.参加費: 無料

6.お問合せ・お申し込み先
 E-Mail: s-inoue@andrew.ac.jp (できるだけメールにてお願いします)
 FAX: 0725-54-3202 (桃山学院大学 経営学部 井上 敏あて)

7.吹田市立博物館へのアクセス
 〒564-0001 吹田市岸部北4-10-1 TEL: 06-6338-5500


【詳細な問い合わせ等】
 http://www.suita.ed.jp/hak/riy/riy.html

(サイバーネットワーク/鎌田)

2011年7月21日木曜日

宮城県石巻市の民俗資料保全に関する調査報告

皆さま、半田です。

新潟大学、多田さんから、飯島康夫氏(民俗学)による、宮城県石巻市の民俗資料保全調査の報告をいただきました。
転送させていただきますのでご参照下さい。

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宮城県石巻市民俗資料保全調査報告

2011年7月19日
飯島康夫

 2011年6月28日(火)~30日(木)の期間、宮城県教育庁からの依頼により宮城県石巻市に出張し、地震および津波の被害を受けた民俗資料の保全活動に加わった。

 新潟からの参加者は、新潟大学2名、新潟県立歴史博物館1名、新潟市歴史博物館2名の計5名の民俗学関係者で、今回のわれわれ新潟からのメンバーの活動は、新潟大学災害・復興科学研究所のプロジェクト活動被災者支援研究グループにおける調査活動の一環として行われた。なお、新潟大学と新潟県立歴史博物館の3名は、28日・29日の2日間のみの参加であった。

 前日の27日に仙台市に入り、28日からは、宮城県の被災文化財等救援委員会現地本部の置かれている仙台市博物館に毎朝7時30分に集合し、車に分乗して約3時間かけて石巻市の現場に移動、民俗資料の保全活動を行い、14時30分~15時に現地を撤収するという作業日程であった。作業は、国立民族学博物館チームの指揮のもとで行われ、東文研をはじめとした国立文化財機構チーム、東北学院大学チームとわれわれ新潟のチームが参加した。

 保全活動の内容は、津波の被害を受けて傾いた収蔵庫から民俗資料を搬出し、いったん近接する公共施設に仮置きして、そこでラベル附け・写真撮影・照合のための資料の記録を行い、資料の一部は洗浄のため同市内にある公益財団法人施設に車で搬送するというものであった。最終的にはすべての民俗資料が東北学院大学に移送されて一時保管される。

 公益財団法人施設には別の場所から搬入された民俗資料も一時的に保管されており、2日目にはその一部の洗浄作業も行われた。

 津波の水損を受けた資料は、塩水を被ったうえに様々な付着物や臭気があり、その保全や整理には、地震の揺れによる損害を被っただけの資料とはまた別の難しさがある。被災現場からの搬出が終わっても、これらの資料を活用可能な状態にする作業は相当な時間がかかると考えられる。しかも被災したのがここ1か所だけではなく広域にわたることを考えると、長期の支援体制が必要であると強く感じた。

(タバシオ/半田)

2011年7月19日火曜日

長野県栄村、震災被災地の文化財保全活動の報告

新潟大学の矢田さんから、長野県栄村における文化財保全活動に関する報告が届きましたのでご紹介します。
なお、この報告書は「転送自由」扱いです。ご興味お持ちの方にご紹介いただければ幸いです。

○長野県北部(栄村)震災被災地における文化財保全活動(第2・3回)報告

(タバシオ/半田)

2011年7月15日金曜日

特別集会「被災地の博物館に聞く」のお知らせ

タバシオ半田です。

いつの間にか梅雨も明け、暑い夏がやってきました。
未だ復興の途上にある被災地の博物館施設の状況を考えると胸が痛みます。
こうしたなかで、文化財レスキュー活動も続けられ、全国から多くの博物館関係者が被災地に入り、現地の方々との恊働で、厳しい状況のなかでレスキュー活動を展開しています。

一方、7月に入り通常開館する施設も増えてきました。
宮城県七ヶ浜町の歴史資料館、同町の国際村は7月1日から通常の体制で再スタートしました。
特別展示室のみ開館していた仙台市博物館も7月23日から常設展示室をオープン予定です。
他にも更新情報が増えつつあります。
職員の方々のご努力に敬意を表したいと思います。

私事ですが、6月に、財団法人日本博物館協会の専務理事に選任されました。タバシオでの職務との兼任で、非常勤の専務理事として、どれほどのお役に立てるかはなはだ不安ですが、復興への取り組みも含め、できるだけのお手伝いをさせていただきたいと思います。
今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

なお、文化財レスキュー活動に関連する催しものの情報をお知らせします。
是非ご参加下さい。

特別集会「被災地の博物館に聞く」

http://www.rekihaku.ac.jp/others/assembly.html

趣 旨:
 全国の博物館職員と関係者が集い、被災地の博物館職員から震災後の状況について話を聞くことで、情報を共有し、精神的に支援するとともに、今後の連携のあり方を探ります。一般からの参加も歓迎します。

日 時 : 2011年 7月 30日 (土)13:00〜17:30

場 所 : 国立歴史民俗博物館 講堂
   (千葉県佐倉市城内町117)

日 程 :
13:00〜17:30 現地からの報告
 被災地で活動をしておられるいくつかの館と関係機関から報告者を招き、ご報告をいただきます。

  岩手県立博物館                赤沼 英男 氏(保存科学)

  陸前高田市立海と貝のミュージアム兼
  陸前高田市立博物館              熊谷 賢 氏(考古学)

  陸前高田市立博物館              砂田 比左男 氏(昆虫学)

  多賀城市教育委員会              高倉 敏明 氏(考古学)

  仙台市博物館 仙台市史編さん室         菅野 正道 氏(歴史学)

  東北学院大学 文学部/大学博物館        加藤 幸治 氏(民俗学)

  福島県文化振興事業団 福島県歴史資料館     本間 宏 氏(考古学)

申し込み不要・無料
260名,先着順

・終了後、館内で交流のための懇親会を開催。こちらは会費制で当日受付けます。

問合せ先:
 国立歴史民俗博物館 広報サービス室 サービス・普及係
〒285-8502 千葉県佐倉市城内町117
 Tel.043-486-0123(代) Fax.043-486-4482
 e-mail:sfukyu@ml.rekihaku.ac.jp

(たばこと塩の博物館 半田)

遠野市立博物館の企画展のお知らせ「文化財を救え!~東日本大震災と文化財レスキュー」

■企画展の要旨
岩手県遠野市は、北上高地の中央に位置し、古くから三陸沿岸と内陸を結ぶ交易の中継地として栄え、特に今回の津波で大きな被害を受けた大槌町・釜石市・大船渡市・陸前高田市・山田町・宮古市とは車で約1時間~1時間半の距離に
あって、歴史的・文化的に深いつながりをもってきました。
そのため遠野市立博物館と遠野文化研究センターでは、三陸沿岸の被災した文化財を回収し、応急処置を施す「文化財レスキュー」に取り組んでいます。このテーマ展では、これまでの遠野市での取り組みを中心に紹介します。
救い出された文化財は、東日本大震災を乗り越えたという新たな歴史的価値を与えられ、三陸沿岸に生きる人々の誇りとなって、未来を生きる大きな力となるものです。その被災地の文化の復興支援に携わることこそ、被災地に寄り添って生きる遠野の人々にとっての「誇り」であり、新たに刻む「歴史」となることを願って開催するものです。

■展示構成:
 ・文化財レスキューとは
 ・岩手県の図書館博物館の被害状況
 ・遠野に避難してきた文化財
 ・大槌町での活動
 ・陸前高田市での活動
 ・釜石市での活動
 ・学校教育と文化財レスキュー体験
 ・山奈宗真と文化財

 ◎会 期:2011年7月22日(土)~9月29日(木)
 ◎所在地:〒028-0523 岩手県遠野市東舘町3-9
 ◎お問い合せ先:TEL. 0198-62-2340

※詳細は下記URL≪↓≫をご覧ください。
http://www.city.tono.iwate.jp/index.cfm/25,10265,122,144,html

(サイバーネットワーク/鎌田)

2011年6月8日水曜日

全日本博物館学会 シンポジウムのお知らせ

・日 時:2011年6月11日(土)15:20~17:40
・会 場:東京都千代田区神田駿河台1-1
    明治大学駿河台キャンパス リバティータワー1階 1103教室
・参加費:無料
・プログラム

 15:20~16:20 シンポジウム第一部:震災の現状と復興への道のり
  報告1. 被災地の現状 半田昌之氏(たばこと塩の博物館)
  報告2. 文化財を守るためのMLAK連携 栗原祐司氏(文化庁文化財部美術学芸課長)
  報告3. 震災復興の道のりと博物館の役割―神戸の事例から―

 16:30~17:40 シンポジウム第二部:博物館は今、何ができるのか?それぞれの立場から考える
  コメンテーター:半田昌之氏(たばこと塩の博物館)
          山本哲也氏(新潟県立歴史博物館)
          布谷智夫氏(三重県立博物館館長)
 ファシリテーター:高田浩二氏(海の中道水族館館長)
   1. はじめに
   2. 想像:被災地の博物館や市民が望んでいる事
   3. 創造:防災や市民生活の復興に対して博物館ができる事
   4. 会場からのご意見とまとめ

(たばこと塩の博物館 半田)

2011年6月6日月曜日

「文化による復興支援」シンポジウムが遠野文化研究センターで開かれます

遠野文化研究センターから
「文化による復興支援」シンポジウム~被災地の皆さんに元気を届けよう~
のお知らせです。

1 目 的
東日本大震災において、岩手県の沿岸被災地では、永い間大切に育み継承して
きた有形無形の文化財を相当数流失した。
このままでは、沿岸の人たちが、新しいまちづくりに取りかかろうとしたとき
「文化」というアイデンティティーを失ってしまい心の拠り所がなくなってしま
う。
古くから沿岸地域と強い絆で結ばれてきた遠野市では、地域の貴重な文化資源
を後世に残すために、本年4 月1 日に創設した遠野文化研究センター(赤坂憲
雄所長)を核として、被災した文化財や博物館資料、図書館資料の状況調査を
行い、それらの保護保存や収集・記録、献本支援等に取り組むとともに、被災
した人々へ講話や昔話、音楽等を提供して心の潤いや元気を取り戻す活動を行
うなど、文化による復興支援を行い「遠野モデル」を全国発信する。
(遠野市記者発表資料より)

2 日 時:平成23 年6 月12 日(日) 13:00~17:00 (開場12:30)
3 場 所:あえりあ遠野「交流ホール」
4 主 催:遠野文化研究センター
5 後 援:文化庁(予定)
6 入場料:無 料
7 内容

※内容等の詳細につきましては、下記をご参照下さい。
詳細内容はこちら

(サイバーネットワーク/鎌田)

2011年5月31日火曜日

5月25日新潟県立歴史博物館と新潟市歴史博物館の山形への物資搬入の取り組み

新潟資料ネットの矢田さんからのメールです。
非被災地の博物館の支援の取組み方の一例として、今後の参考になると思いますのでご紹介します。
(タバシオ 半田)


 みなさま
 矢田@新潟資料ネットです。

 ※転送自由

5月25日、新潟県立歴史博物館と新潟市歴史博物館の2館は、東北各県の文化財・歴史資料レスキューを支援されている山形資料ネットを後方で支援するため、山形県に物資を運び込む取り組みを行ないました。
詳細は報告書をご覧下さい。

○報告書を表示

2011年5月24日火曜日

新潟資料ネットの矢田さんと京都橘大学の木下さんから情報を頂きました

タバシオ半田です。

・新潟資料ネットの矢田さんから、3月12日の長野県北部地震で被害を受けた、長野県栄村での資料保全活動について情報を受け取っています。
活動の内容やレポートについて、新潟資料ネットのホームページでご覧いただけますのでご参照下さい。
「長野県北部(栄村)震災における史料保全活動について」(2011年5月10日)
http://hysed.human.niigata-u.ac.jp/rescue/

・京都橘大学の木下達文さんから、連休中に整理された被災状況に関する情報をお送りいただきましたので、サイトの「東日本大震災 博物館情報」に反映させていただきました。

(たばこと塩の博物館 半田)

被災地を巡って

半田です。 4月27日から5月1日までの期間、東北地方の被災地を廻ってきました。中越地震で被害を受けた十日町市のミティラー美術館の長谷川時夫館長と2人で、福島県南相馬市から宮城県内を経て岩手県の久慈市まで、約2,000kmを車で移動しました。最初の入口を南相馬をとしたのは、津波とともに原発事故による被害に対して、何らか実感できる感覚を持ちたいと思ったからです。実際、原発事故は、目に見えない放射能の影響から生じる、周辺住民の生活破壊を伴う深刻な問題であることを、人影まばらな南相馬の空気の中で実感しました。
予想はしていたものの、津波の被害は想像をはるかに超え、現地で受けた衝撃は思いの外に大きく、戻ってから出来るだけ早く、現地の状況をこのサイトでもご報告するつもりだったのですが、なかなか気持ちが前に向かず、時間だけが経ってしまいました。これから、少しずつ気持ちを整理して、情報を発信していきたいと思います。

今回は、できるだけ津波被害を受けた太平洋岸の地域を北上し、可能な限り多くの博物館施設を訪ね、地震や津波の被害の状況を実見したいと考えました。今回訪れた津波被害を受けた太平洋岸の地域は、福島県南相馬市、宮城県名取市・多賀城市・七ヶ浜町・塩竈市・石巻市・女川町・南三陸町・気仙沼市、岩手県陸前高田市、大船渡町、釜石市、大槌町、山田町、宮古市、久慈市です。また、宿泊地を探して訪れた内陸部の地域(津波被害を受けていない地域)は、福島県伊達市、宮城県仙台市、宮城県栗原市・登米市、岩手県遠野市・花巻市大迫などです。
この行程のなかで、全体で20数館の博物館等の施設を訪れました。連休とも重なり、館の職員が居られない施設も多くありましたが、概ね、被災地域の地域的傾向は掴むことができたと考えています。
  1. 地震、津波、原発事故という3大要因による被害を被った地域が、かつて例のない広範な地域に及んでいる。
  2. 地震被害は、同じ震度を記録した地域の中でも、施設によって被害の大小にかなりの違いがある。
  3. 今回ほどの甚大な津波被害はかつて例がなく、博物館施設等の復興にも新たな長期的取組みが必要である。
  4. 被災地で施設の復興に向けて仕事をしている方々の多くが、自らも被災者であることをキチッと理解する必要がある。
  5. 原発事故の影響を受ける地域にある博物館施設の復興は、事故が収束してから本格的に始めざるを得ない。
  6. 未だ多くの行方不明者がいて、避難所での暮しを余儀なくされている方が多くいる状況で、博物館等、文化施設の復興が本格化するのは難しい。
  7. 被害資料を対象とする「文化財レスキュー」事業や施設の復旧事業とは別に、被災した施設が果たせないでいる博物館としての役割(地域住民へのサービス、社会教育機能など)を、被災地以外の博物館の連携で、移動博物館やハンズオンプログラムの巡回等、多様な視点での支援が求められる。
正直、津波の直撃を受けた施設を目の当たりにすると、言葉を失いましたが、街並全体が消失したような地域で、施設の復興に汗を流す学芸員の方々や、瓦礫のなかを通学する子どもたちの姿に、外から訪れた私が、逆に強く励まされる結果となりました。

引き続き、できるだけ情報を発信していきたいと思います。
(たばこと塩の博物館 半田)

2011年5月5日木曜日

文化財レスキューに関するニュース

岩手日報で、文化財レスキュー始動に関するニュースが掲載されています。この件についてはいろいろな方から情報提供を受けました。ありがとうございました。
(たばこと塩の博物館 鎮目)

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20110504_10

2011年4月17日日曜日

「黄色いポスト募金」 チャリティーイベントの開催

逓信総合博物館(郵政資料館)の井上卓朗さんより以下の情報提供がありました。(たばこと塩の博物館 鎮目)

手紙でつなごう。希望のメッセージ
「黄色いポスト募金」 チャリティーイベントの開催
日時 平成23年4月23日、24日
場所 東京都立産業貿易センター(台東館)
住所:東京都台東区花川戸2−6−5
交通:東京メトロ銀座線・東武伊勢崎線・都営浅草線「浅草駅」下車 徒歩5分
逓信総合博物館が開館できないため、やむなく淺草の東京都立産業貿易センター(台東館)に場所をお借りしました。被災地からのメッセージも届いております。浅草寺のすぐとなりですので、ご参加方よろしくお願い申し上げます。

【情報】岩手県山田町 鯨と海の科学館

愛媛県総合科学博物館の小林さんより以下の情報を提供していただきました。
(たばこと塩の博物館 鎮目)

岩手県山田町 鯨と海の科学館
被災状況がasahi.comの記事にアップロードされています。 
http://www.asahi.com/national/update/0407/TKY201104070207.html
館は津波の被害を受けましたが、建物は残り、シンボルの鯨の骨格も奇跡的に残っているようです。

2011年4月16日土曜日

saveMLAKから緊急討議「東日本大震災 被災支援とMLAK-いまわたしたちにできることは」のお知らせ

saveMLAK主催で、
緊急討議「東日本大震災 被災支援とMLAK-いまわたしたちにできることは」が開かれます
(サイバーネットワーク鎌田)


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 ◎日 時:2011年4月23日(土) 13:00 - 14:30
 ◎会 場:学習院大学(目白) 南3号館203教室
      いささか分かりにくいので下記をご確認の上、直接おいで下さい
      http://www.gakushuin.ac.jp/mejiro.html
 ◎呼びかけ人:saveMLAK有志 http://savemlak.jp/

【開催の呼びかけ】
 3月11日の東日本大震災から一ヶ月が経ちました。この未曾有の災害に直面
し、救命とライフラインの復旧が何よりの課題でありますが、同時に失われた多
くの文化財のあることも私たち、博物館・美術館、図書館、文書館、公民館(MLAK)
に関与するものは深い衝撃を持って受け止めざるをえません。
 震災の当日より現在まで、被災・救援情報サイトを構築しsaveMLAKにいたっ
ている者たちの有志により、震災後、直近の関連学協会である日本アーカイブズ
学会の年次大会に先立ち、標記の会合を持つことにいたしました。
 貴重な時間と会場をご提供いただきました日本アーカイブズ学会のご支援、ご
協力に深くお礼申し上げます。限られた時間ではありますが、MLAKに関わる多
くの方々のご参集と今後の取り組みの展望へ向けて、討議が広く展開されること
を期待いたしております。

◎協 力(確定順)
 日本アーカイブズ学会、アート・ドキュメンテーション学会、情報知識学会、
 日本ミュージアム・マネージメント学会、大学図書館問題研究会、
 情報処理学会人文科学とコンピュータ研究会(CH研究会)

◎スケジュール・登壇者
13:00  開会
    発言1 MLAKの展開 岡本 真(ARG)
    発言2 Mからの報告 山村真紀(ミュージアム・サービス研究所)
    発言3 Lからの報告 常世田良(日本図書館協会事務局次長)
    発言4 Aからの報告 青木 睦(国文学研究資料館研究部准教授)
    発言5 Kからの報告 神代 浩
              (国立教育政策研究所教育研究情報センター長)
    発言6 文化財レスキューから 栗原祐司
                   (文化庁文化財部美術学芸課長)
14:30  閉会

◎司会 水谷長志(東京国立近代美術館情報資料室長)
各発言8分程度、その後、フロアを交えて自由討議

※詳細は下記URL≪↓≫よりSaveMLAKホームページをご覧ください。
http://savemlak.jp/wiki/SaveMLAK

2011年4月15日金曜日

新潟大学の矢田さんからシンポジウムのお知らせです。

新潟大学では、4月1日に新潟大学災害・復興科学研究所が設立され、4月23日にシンポジウムを開催するとのことです。ご参加、ご周知方、よろしくお願いいたします。
(タバシオ 半田)

http://www.nhdr.niigata-u.ac.jp/news/176/


転送自由

災害・復興科学研究所開所記念シンポジウム

日時:平成23年4月23日(土)13:30-17:45
会場:新潟大学(総合教育研究棟260番階段教室)

シンポジウム次第
開 会
13:30-13:40 新潟大学長開会挨拶:下條文武学長
研究所紹介
13:40-14:10 災害・復興科学研究所:丸井英明所長 
「災害・復興科学研究所の目指す事業」
14:10-14:20 (質疑)
基調講演
14:20-14:50 UNESCO防災部::バダウイ・ルーバン部長
         「自然災害の軽減に向けたUNESCOの役割と戦略」
14:50-15:00  (質疑)
(休憩)
特別報告/東日本大震災に関する緊急報告
15:20-16:30 司会:災害・復興科学研究所(川邉洋教授)
特別講演    
産業技術総合研究所活断層地震センター:岡村行信センター長
「地質学からみた東北地方太平洋沖地震」
東京大学地震研究所災害科学系研究部門:纐纈一起教授
「東北地方太平洋沖地震の発生メカニズム」
災害・復興科学研究所:田村圭子教授
「超広域災害への対応-内閣府Emergency Mapping Teamの目指すもの-」

パネルディスカッション/防災・減災における国際連携の強化
16:30~17:40 モデレーター(新潟大学:浮田甚郎教授、丸井英明教授)
  パネリスト 中国駐新潟総領事館:王華総領事
  クロアチア国スプリット大学:オグニエン・ボナッチ教授
        京都大学防災研究所総合防災研究グループ:寶 馨教授
        国連大学:スリカンサ・ヘラート教授
        UNESCO防災部:バダウイ・ルーバン部長(コメント担当)
閉 会
17:40~17:45 新潟大学副学長閉会挨拶:仙石正和副学長

意見交換会
18:00~20:00 災害・復興科学研究所開所意見交換

事前連絡不要・参加自由・シンポジウム無料
意見交換会有料

2011年4月13日水曜日

皆さま、タバシオ半田です。

4月11日に公開した「東日本大震災 博物館情報」サイトですが、早速いろいろな情報をご提供いただき、本当に有り難うございます。

このたび、サイトのなかにブログも開設しました。現地から直接いただける貴重な情報をはじめ、頂戴した情報をできるだけ正確に反映させていきたいと思いますので、このブログもご活用いただき、引き続きよろしくお願い申し上げます。

また、このブログには、被災地で復興にご奔走されておられる方々の本音のつぶやきや、被災地以外の地域の方々のコメントもお寄せいただきたいと思います。学芸員として33年間を過ごしてきた私にとって最も大切な財産は、組織の枠を越えた、各地の学芸員の方々との個人的なネットワークだと確信しています。困ったとき、悩んだときに、知恵をもらい助けてもらったことで、今の私があります。このサイトにお寄せいただいた情報は、公的な大きな支援に直結するものではありませんが、同じ時間を共有しながら、永くかかるであろう復興への歩みを止めることなく進めていくお手伝いができれば幸いです。