2012年3月11日日曜日

震災から1年目の3月11日を迎えて

3月11日、東日本大震災から1年が経ちました。
改めて、犠牲になられた方々に哀悼の意を表しますとともに、未だ、厳しい状況のなかで、ご不自由な暮らしを強いられておられる方々に、心からお見舞いを申し上げます。

2月26日から今日まで、東京都立中央図書館で開かれていた「震災からよみがえった東北の文化財展」には、陸前高田の小学校の窓ガラスにぶつかって子どもたちが弔ったアカショウビンの剥製も、被災した後にレスキューされ、きれいな姿で展示されていました。この展覧会は、3月16日から28日まで、遠野市立博物館に会場を移して開催されます。

先週、仙台市立博物館では、日本博物館協会の研究協議会として、「東日本大震災に学ぶ資料管理」と題する研修会が開かれ、この1年間、現地で文化財レスキューに関わってきた各分野の専門家からの事例報告と討議が行われました。今後も継続して続けていかなくてはいけない活動が残されていることを確認するとともに、今後も起こり得る災害に備え、防災・減災のために取り組まなくてはならない多くのことがあることも認識する機会となりました。

サイバーネットワークの協力の下に立ち上げたこのサイトは、被災地の博物館の状況をお伝えしようという意図で、幾度か情報を更新してきましたが、振り返ってみると、充分なお役に立つことができなかったと反省しています。

1年が経った今、震災後から掲載した情報を、アーカイブとして残す一方で、これから、被災地の博物館が、博物館として本来の役割を取り戻していけるよう、自分たちに何ができるのかを考えながら、行動していくためのサイトとしてリニューアルしていこうと考えています。

リニューアルには今しばらく時間が掛かりそうですが、たばこと塩の博物館の仕事、日本博物館協会の仕事とともに、現地への関わりを続ける一つの窓口として、このサイトを残していこうと考えています。

今後ともよろしくお願いいたします。

2012年1月11日水曜日

今年もよろしくお願い申し上げます

新たな年が始まりました。
巡り来る春が、みなさまにとって佳き日々でありますよう、心よりお祈り申し上げます。
年が明けるとともに、早、震災から10ヶ月が経ちました。もうすぐ1年が巡るのかと思うと複雑な気持ちにもなりますが、できることにひとつずつ取り組んでいきたいと思いますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。  半田

2011年12月31日土曜日

来る年に

2011年が終わろうとしています。
3月11日の東日本大震災から9ヶ月以上が過ぎました。
震災後に開設した「東日本大震災 博物館情報」サイトですが、6ヶ月が経った9月11日に書き込んだブログ記事を最後に今日を迎えています。日々の仕事に追われるなかで、震災のこと、被災地への想いが希薄になっていないかと、自分に問うこともありますが、この9ヶ月間に現地の博物館施設の状況も大きく変化してきました。現地で被災した博物館で復興に取り組んでこられた沢山の方々のご努力で、多くの博物館施設がそれぞれの機能を取り戻し、本来の活動に復帰しました。被災した文化財に対するレスキュー事業も、被災地、周辺地域、さらに全国へと広がったネットワークのなかで、大きく前進しました。しかしその一方で、未だ復興の道筋が見えない施設もあります。文化財レスキューも、被災した資料の全貌からすれば、未だようやく登山道の入口に立ったばかりで、本格的な道のりはこれからです。さらに、全国の施設に預けられ、修復処置を施されている被災文化財には、修復が終わったときに、帰るべき施設が失われてしまっているものが膨大な点数存在しています。被災地の復興自体、まだまだ永い年月を要することでありますが、博物館施設の復興は、さらに多くの時間を必要としています。
 こうした状況のなかで、「東日本大震災 博物館情報」のサイトも、年が改まることを機に、少しずつその在り方を見直し、できるだけ、今後の復興の歩みを、しっかりと発信する役割を果たしていけるようになりたいと思います。
 間もなく訪れる新たな年が、皆さまにとって佳き日々でありますことを、心よりお祈り申し上げます。

2011年9月11日日曜日

震災から6ヶ月

皆さん、タバシオの半田です。
今日は9月11日。震災から6ヶ月が経ちました。
被災された方々のなかには、徐々に通常の暮らしを取り戻されつつある方も居られる一方、未だに4,000人を超す方々が行方不明で、避難所で不自由な生活を強いられている方々も6,000人以上居られます。改めて、被災地の1日も早い復興をお祈り申し上げます。
 こうした状況のなかで、博物館の世界も少しずつ落着きを取り戻しつつあります。7月15日に「アクアマリンふくしま」がオープンし、震災の影響で閉館している水族館はなくなりました。文化庁を中心とする「文化財レスキュー」事業も、構成団体の皆さんの努力によって、機能的な活動が展開されるようになりました。しかし、全体としての復興には、未だ遠い道のりが必要とされています。多くの機関の協力により、被災地から各地に運ばれレスキューされた文化財は、今、応急手当を終えて避難生活をしている状況ですが、これらの博物館資料のなかには、本来、戻るべき博物館の再会に、未だ全く目処が立っていない施設も沢山あります。
 6ヶ月経った今日、東京は30℃を超す残暑です。一方で、秋祭りの季節、被災地で復興に携わっておられる方々におかれましては、夏の疲れが出ませんよう、どうぞご自愛ください。また私たちも、引き続きできるお手伝いをさせていただきたいと思います。なにかお手伝いできることがありましたら、お気軽にお声を掛けていただければ幸いです。
 今後ともよろしくお願い申し上げます。

2011年7月29日金曜日

シンポジウム「災害と博物館~災害時に博物館ができること~」のご案内

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平成23年度 吹田市立博物館夏季特別展関連シンポジウム
日本ミュージアム・マネージメント学会(JMMA)
平成23年度 第2回近畿支部研究例会
「災害と博物館~災害時に博物館ができること~」のご案内
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3.11の発生後、多くの人々が「私に何ができるか」を考えました。
では、博物館は災害時にどんな貢献ができるのか。東日本大震災で多くの博物館や文化財が被災している今、そして、博物館に氷河期が到来している今、博物館の存在意義とは何かをあらためて問い直すべきではないでしょうか。世界の博物館の取り組みや関西発の文化財保全の取り組みなどを議論するなかで、われわれに何ができるのか、文化財に関わる関係者や市民一人一人が考えるきっかけにしたいと思います。

 大学関係者、文化財保護関係者、博物館関係者、市民の方々、また博物館の災害対応に興味を持っている学生の皆さんなど、たくさんの方のご参加をお待ちしております。

1.開催日時・会場
日時: 平成23年8月7日(日) 14:00~16:00 (13:30開場)
会場: 吹田市立博物館 2F講座室 (定員120名:先着順)

2.主催
吹田市立博物館、日本ミュージアム・マネージメント学会(JMMA)近畿支部

3.後援
全日本博物館学会、日本展示学会

4.プログラム (司会:黒岩啓子)
 13:30-14:00 開場・受付
 14:00-14:05 開会のあいさつ(吹田市立博物館館長 小山修三)
 14:05-14:35 講演(国立民族学博物館准教授 林勲男氏)
 14:35-15:05 講演(近大姫路大学講師、歴史資料ネットワーク副代表 松下正和氏)
 15:05-15:55 パネルディスカッション
        (司会:JMMA近畿支部長・全日本博物館学会役員 井上敏、
         パネリスト:林勲男氏、松下正和氏、小山修三)
 15:55-16:00 閉会のあいさつ(井上敏)

5.参加費: 無料

6.お問合せ・お申し込み先
 E-Mail: s-inoue@andrew.ac.jp (できるだけメールにてお願いします)
 FAX: 0725-54-3202 (桃山学院大学 経営学部 井上 敏あて)

7.吹田市立博物館へのアクセス
 〒564-0001 吹田市岸部北4-10-1 TEL: 06-6338-5500


【詳細な問い合わせ等】
 http://www.suita.ed.jp/hak/riy/riy.html

(サイバーネットワーク/鎌田)

2011年7月21日木曜日

宮城県石巻市の民俗資料保全に関する調査報告

皆さま、半田です。

新潟大学、多田さんから、飯島康夫氏(民俗学)による、宮城県石巻市の民俗資料保全調査の報告をいただきました。
転送させていただきますのでご参照下さい。

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宮城県石巻市民俗資料保全調査報告

2011年7月19日
飯島康夫

 2011年6月28日(火)~30日(木)の期間、宮城県教育庁からの依頼により宮城県石巻市に出張し、地震および津波の被害を受けた民俗資料の保全活動に加わった。

 新潟からの参加者は、新潟大学2名、新潟県立歴史博物館1名、新潟市歴史博物館2名の計5名の民俗学関係者で、今回のわれわれ新潟からのメンバーの活動は、新潟大学災害・復興科学研究所のプロジェクト活動被災者支援研究グループにおける調査活動の一環として行われた。なお、新潟大学と新潟県立歴史博物館の3名は、28日・29日の2日間のみの参加であった。

 前日の27日に仙台市に入り、28日からは、宮城県の被災文化財等救援委員会現地本部の置かれている仙台市博物館に毎朝7時30分に集合し、車に分乗して約3時間かけて石巻市の現場に移動、民俗資料の保全活動を行い、14時30分~15時に現地を撤収するという作業日程であった。作業は、国立民族学博物館チームの指揮のもとで行われ、東文研をはじめとした国立文化財機構チーム、東北学院大学チームとわれわれ新潟のチームが参加した。

 保全活動の内容は、津波の被害を受けて傾いた収蔵庫から民俗資料を搬出し、いったん近接する公共施設に仮置きして、そこでラベル附け・写真撮影・照合のための資料の記録を行い、資料の一部は洗浄のため同市内にある公益財団法人施設に車で搬送するというものであった。最終的にはすべての民俗資料が東北学院大学に移送されて一時保管される。

 公益財団法人施設には別の場所から搬入された民俗資料も一時的に保管されており、2日目にはその一部の洗浄作業も行われた。

 津波の水損を受けた資料は、塩水を被ったうえに様々な付着物や臭気があり、その保全や整理には、地震の揺れによる損害を被っただけの資料とはまた別の難しさがある。被災現場からの搬出が終わっても、これらの資料を活用可能な状態にする作業は相当な時間がかかると考えられる。しかも被災したのがここ1か所だけではなく広域にわたることを考えると、長期の支援体制が必要であると強く感じた。

(タバシオ/半田)

2011年7月19日火曜日

長野県栄村、震災被災地の文化財保全活動の報告

新潟大学の矢田さんから、長野県栄村における文化財保全活動に関する報告が届きましたのでご紹介します。
なお、この報告書は「転送自由」扱いです。ご興味お持ちの方にご紹介いただければ幸いです。

○長野県北部(栄村)震災被災地における文化財保全活動(第2・3回)報告

(タバシオ/半田)